『キング・オブ・モンスターズ』の悪い点を『シン・ゴジラ』と比べる

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と2017年の大ヒット映画『シン・ゴジラ』の良い点・悪い点を比較することで、これから見る方の参考に。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』


ハリウッド版ゴジラの最新作が、2019年5月31日に公開された。前作から5年後、キングギドラやモスラなど、数体の怪獣が目覚め、再び地球は危機に陥る、というのが本作のストーリー。

そう、今回はオールスター出演のお祭り騒ぎ的な1作なのだ。ついにハリウッドのクオリティーでキングギドラやモスラが暴れる!これだけで往年のファンは食いつくこと間違いなしだ。だけど、普段あまりゴジラシリーズに触れていない人は、面白いのか気になるはず。そこで今回は大ヒットを記録した『シン・ゴジラ』との比較を通じて、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の良い点と悪い点を書き連ねてみよう

良かった点

まずはポジティブな部分から。やはりハリウッドはすごいと思えた映画だった。

怪獣のバトルシーンが派手で最高

本作で怪獣は暴れまくる。とにかくド派手な戦いは、ゴジラvsキングギドラやモスラvsラドンなどのドリームマッチとして、僕らをハラハラドキドキさせてくれる。

恐らくゴジラの歴史上最弱のラドンですら、飛ぶだけで徹底的に街が破壊しつくされ、怪獣に人間は抗えないという絶望感が刻み込まれる。こういった恐怖や凄みを出す演出に関して、ハリウッドは一流なのである。

『シン・ゴジラ』ではゴジラのデザインや、暴れるシーンを絞ることで恐怖心を煽ってきたが、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は常にバトルが激しい。

『シン・ゴジラ』が玄人同士の県道の試合だとすれば、本作は必殺技の飛び交うプロレス・マッチなのである

ノリが軽い

これは日本のゴジラにあまりなかったアメリカ的な要素なのだが、登場人物がジョークを飛ばしまくる。すごそうな戦艦や最新テクノロジーは一切の説明なくそこに存在し、なんとなくでゴジラの気持ちを分かった気分になって、全員がそれを信じて動いていく。論理を積み重ねてゴジラを停止させた『シン・ゴジラ』とは真逆である。

本作の登場人物は、人が死んでも1分後には忘れているような気がする。

仕事に疲れて土日に見る作品としては、これくらいのノリの軽さが心地いい。もう怪獣がドンパチ派手にやってるのを見ながら、ドキドキするだけでいいのだ。悲しい気分にはならなくていい。本作はオールスター総出演のお祭り映画なのだから。

怪獣がいっぱい出てくる

事前に報道されていたモスラやキングギドラ以外にも、たくさんの怪獣が登場するのも熱い。これがハリウッドの製作費の力なのだろうか。『シン・ゴジラ』との大きな違いはここだ。まさに夢の戦いで、頭を空っぽにして見れる。はずだったのだが、実は本作にはいくつか気になる点がある。次にそれを書かせてもらいたい。

悪かった点

本家の元を離れたことによって生まれている良くないポイントがあった。いくつか紹介したい。

ゴジラのデザインがダサい

なぜかゴジラのヴィジュアルがおっさんだ。スタイリッシュさが一切ないずんぐりむっくりの体躯に、異様に太い首。なんか知らんが広すぎる肩幅に、鼻からは煙まで出ている。プロレスラーかよ。キングギドラがめちゃくちゃカッコよかっただけにここが惜しい。

登場人物がだいたい狂ってる

マジで感情移入が出来ない。ただの一人も何を考えて生きてるのかわからない。行き過ぎた環境保護論者に、仲間になるのか分からないのに数千の同胞を亡き者にした怪獣の生存権を訴えるアニマルライツ活動家。同僚が死んだ直後にジョークを飛ばす非人間的博士や、数々の無能たち。「そうはならんだろ」の連続で何千万人の命が無駄になる。

ある意味面白く、彼らによって異様にテンポは良くなっているが、こんなおバカ映画的な登場人物ばかりだと、なぜかコメディーのように見えてしまってドキドキ出来ない。恐怖と爽快感を味わいたいのに、なぜかブラックジョークを浴びせかけられ続けているような状態で、人間の描写に拘っていた『シン・ゴジラ』に大きく劣っている言わざるを得ない。

田中圭の声が合ってない

これは吹き替えでみた筆者も悪いのだが、主人公のおっさんと田中圭の声が全く合っていない。声が余りにも若すぎる。ずっと画面にいる様な人物なので、耳が慣れるまでまったく本編に集中できず、もったいない思いをした。ぜひとも字幕版でご覧になっていただきたい。

怪獣に知性がある(気がする)

本作では怪獣に知性と呼べるものがある。街を縦横無尽に破壊しつくしていた過去作と違い、怪獣たちは重要そうな人物を狙い、他の怪獣を従え、命令を発する。

完全に個人の見解なのだが、ゴジラたちの魅力は目的や行動原理が掴めないところだ。だからこそ人はゴジラに恐怖する。止め方が分からない暴れブルドーザーは誰だって怖い。しかし相手に知性があれば、コントロール出来てしまう。

怪獣達を操る手段や、誘導する方法など、その内面が読めるようになったとき、人間が怪獣の上位に立つ。それではゴジラ達に真の恐怖を覚えることは出来ないし、どこか余裕をもって見れてしまうのである。

『シン・ゴジラ』ではそもそもゴジラの形態も違い、どこにいるのかも全く分からないなど、多くの謎が恐怖を煽っていた。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では、怪獣のことが明らかになりすぎている

おわりに

というわけでつらつらと書かせていただいたが、頭を空っぽにしてみる分には最高の映画だと思う。怪獣たちのプロレスを見たい方はぜひ。逆に『シン・ゴジラ』のような未曽有の大災害の恐怖や、ドキドキ感を味わいたい方は、細かい部分が気になりすぎるので楽しめないかもしれない。

そういった点を頭に入れながら、見に行くかどうかを決める手助けとなれていれば幸いだ。今後も同じ時系列で続いていくシリーズのようなので、長く楽しめることは間違いない。

2019
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この記事を書いた人

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