松田優作の怪演が光る遺作『ブラック・レイン』映画レビュー

『ブラック・レイン』リドリー・スコット監督 1989年公開 観賞日 2018/8/15
スポンサーリンク

ヤクザに支配された間違った日本

『エイリアン』『オデッセイ』『ブレードランナー』の名監督が描く間違った日本であり、完璧なヤクザ映画。スローでサブマシンガンに撃たれる演技に、常に需要がある国は日本ぐらいでは。

ハリウッド映画に大量の日本人

主人公の相棒・高倉健と宿敵・松田優作の存在感が凄まじい。その他にガッツ石松やら内田裕也やら、果ては新喜劇の島木譲二まで、日本の強面を集めてきたみたいなキャスト。

主人公/マイケル・ダグラスが演じる刑事に、下っぱが無礼を働いて怒らせるシーンが2回あった。一度目は高倉健が演じる刑事(松本)で、二度目は若山富三郎演じるヤクザ(菅井)。どちらも客人に無礼を働いた息子/手下を叱責する場面だった。刑事もヤクザも同じ社会のコードに従って生きてて、極道映画的なキャラクターであり続け、礼節を重んじる。

松田優作の遺作として

その仁義と任侠の世界に混じる異物が、マイケル・ダグラスではなく松田優作なのが良い。光りすぎた怪演。

しかも松田優作は末期がんであることを隠し、痛み止めを服用し続け、スタント無しでアクションをこなした。この大スターの最期の輝きこそが、この映画の最大の魅力だった。そのまま遺作となった『ブラック・レイン』は、見ておいて損はないだろう。

ただしプロットに粗は目立つし、悪役が素晴らしいぶん主人公に魅力が欠けるように感じた。F××k you very much.ってセリフだけ良かった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました