【ハーレイ・クインの華麗なる覚醒】名悪役の活躍をレビュー&考察

DCコミックスが生んだ世界的ヴィラン・ハーレイクインのスピンオフ作品について。カンフー映画の影響を受けた本作の特徴を考察。見るかどうか迷っている人もぜひ。

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒

DC映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』最新予告編

ハーレイ・クインといえばバットマンの名悪役・ジョーカーの彼女として、世界的に知られているキャラクターである。日本だとヤッターマンのドロンジョ様に近いイメージだろうか。映画『スーサイド・スクワッド』の後の出来事を描いた作品だが、ほとんど繋がりはないのでジョーカーという悪役とハーレイ・クインが恋人関係にあったことだけ知っていれば大丈夫だろう。

特徴を三行でまとめてみた

  • カラフルな色彩と精神性によるクレイジーな映画
  • カンフー映画に影響を受けた【必殺ワザの出てこない】ヒーローアクション
  • 自由を愛する女性vs権威主義的な男性

いわゆるメンヘラという言葉が生まれる前から、ハーレイ・クインは世界を代表するメンヘラとして生を受けた。その身を犠牲にしてでも、彼氏であるジョーカーの犯罪に手を貸す献身性は、アメコミファンなら誰もが知るところだろう。

ハーレイ・クインの誕生を描いたコミックス版のタイトルは『バットマン:マッドラブ』。狂気に満ちた愛はコミックス版でも度々破綻し、ジョーカーとの破局後を描いた作品もいくつか出版されている。

その狂気が成しえたメッセージとは?特徴をそれぞれ書いていく。

カラフルな色彩と精神性によるクレイジーな映画

 

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※音量注意

ハーレイ・クインという非常に魅力的なキャラクターを活かした、マッドでカラフルな色彩。狂気ともいえるブラックジョークや、時に本質を突くようなハーレイの一言は本作の根幹を成すところだろう。

ハーレイ・クイン役を演じるマーゴット・ロビーの素晴らしさ、キュートさもさることながら、世界でもトップクラスに「理解できない」悪役を見事なまでにかみ砕き、自分のものにしている。そもそもハーレイ・クインを含む複数の女性キャラクターを主役にしたスピンオフ映画を製作したいとワーナーに打診したのは、『スーサイド・スクワッド』でハーレイ・クイン役を演じたマーゴット・ロビー本人である。その自信とモチベーションの高さがうかがえる。

カンフー映画に影響を受けた【必殺ワザの出てこない】ヒーローアクション

 

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またヒーロー・アクション映画としては珍しく【必殺技】が出てこない。味方キャラクターは格闘もしくは銃などの武器で戦うし、敵キャラも同様である。まるでカンフー映画のような、上質かつ泥臭い戦闘シーンが描かれる。過去にジャッキー・チェンが出演していた作品では、コミカルにジャッキーが追い詰められるシーンが良くあるが、そういったものが本作でも参考にされているように感じる。

自由を愛する女性vs権威主義的な男性

そして『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』で描かれるのは、自由に生きる女性たちの姿である。マーゴット・ロビーが声をあげた本作では、主要キャラクターのみならず、監督や脚本などの主要スタッフも全て女性が担当している。人種としてもアジア系・アフリカンアメリカン・ヒスパニックなど、配慮がされたキャスティングになっている。

ビームや瞬間移動のような必殺技が出てこず、ハーレイが拳で分からせる構図になっていることで、より爽快感を持った作品になっているのだろう。明確な男女二項対立の中で抑圧される女性たちを、ハーレイの狂気はどのように打ち破るのか。まだご覧になっていない人は、ぜひ見ていただきたい。

テーマが最も強く打ち出されるラストシーン

決して本筋では重要な部分ではないので、ネタバレを含む内容を記載することにする。本作のテーマそのものともいえるのが、ラストシーンである。

ハーレイクインは紆余曲折あり、『Founders Pier(創設者たちの橋)』の上を進む。その場面ではカラフルな色彩は鳴りを潜め、荘厳な音楽が響く。霧がかかった橋の上には、アメリカを建国してきた男たちの像が並んでいる。そして権威そのものともいうべき存在に、ハーレイ・クインは対峙する。

ハーレイが話すシーンのみ、背景に女性の像が映る。もやがかかってよく見えないが、ポージングからマリリン・モンローの像であることが伺える。様々な役割を演じ『自由に』活躍してきた男たちの中で、『女性とはこうあるべきというイメージ』を作り上げた存在である。いわば抑圧の象徴ともいうべきマリリン・モンローから遠ざかり、霧で先の見えない道を、ハーレイ・クインは進み続ける。非常に象徴的なシーンである。その結末は、ご自身の目で確認していただきたい。

DCコミックスの映画版はテーマが強い

DCコミックスのキャラクターたちがメインを務める映画として、近年話題になったのは次の作品だろう。

バットマンが主人公の『ダークナイト』
国民の通話記録を正義のために傍受したり、愛する人を守るために敵役であるジョーカーを拷問にかけたり、『正義』とは何であるかということを考えさせられる名作。
バットマンの敵役『ジョーカー』の誕生を描いた作品。ヒーロー映画の登場人物のスピンオフながら、いわゆるヒーロー映画的展開は一切ない。いわば『主人公が他の映画で悪役をしているヒューマンドラマ』ともいえる作品

どちらも現実にデモ活動などの影響を及ぼすのではないかと心配になった作品である。『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』にはこれらの作品にない快活さがあるが、同時にテーマの深さ・重さという面を強く受け継いでいるように思われる。気軽に見れる作品ではあるが、深読みしてみるのも一興ではないだろうか。

おわりに

本作の原題はBirds of Prey(and the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn)である。メインに据えられているのはハーレイ・クインではなくバーズ・オブ・プレイ(本作に登場する4人の女性たち)であること、そして副題がハーレイクインのFantabulous(サイコーな)Emancipation(解放)になっていることも、非常に「らしい」と思う。

スーサイド・スクワッドからも、ジョーカーからも解放された彼女の痛快なアクション映画。まだご覧になっていない人もぜひ。それでは、ジーザス・クリスマス。

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