「ぼっち・ざ・ろっく!」の小ネタについて
第一話「転がるぼっち」
「ぼっち・ざ・ろっく!」の始まりともいえる第一話。ギターという楽器には二つ特徴があって、①比較的簡単なので独学で弾けるようになる②大抵は不純な動機で弾き始める(人気者になりたい、もてたい)。そういう意味でも「ぼっち・ざ・ろっく!」かなりリアルだ。バンドマンが大抵陰キャというのもホント。
タイトル「転がるぼっち」の意味:アジカンの曲名から
タイトルはASIAN KUNG-FU GENERATIONが2008年にリリースした「転がる岩、君に朝が降る」より。ちなみに転がる岩は「ロックンロール」の直訳。何も持っていない自分を歌ったこの曲は、まさに「ぼっち」のキャラクターとつながる。
ぼっちちゃんのギタースタイルはメタル
ちなみに1話の2:45~あたりでは、上達したぼっちちゃんがその腕前を見せているが、ギターの演奏スタイルの中でも「メタル」の「速弾き」に分類される演奏をしている。日本のギタリストで言えば、B’zの松本孝弘などのスタイルに近い。
この後の話で登場するぼっちのギターソロも、速弾き中心であることが多く、中学生の時に流行っていたデスメタルバンドの影響でメタルを練習していた節がある。
ぼっち・ざ・ろっく 1話の小ネタ
- ぼっちちゃんの押し入れにはバンドのポスターや交換用の弦、ドラム用の高さが調節できるイスなどが置いてある
- 父親から借りたギターはGibsonのレスポールカスタム。最低でも50万円はする高級機。詳しくは筆者の別ブログの記事にて。
- ポスターの一つには「かいものねだり HAKO-BOON」と書いてあるが、これはKANA-BOONの「ないものねだり」のオマージュ。最初のED曲である「Distortion!!」はKANA-BOONの谷口鮪が作詞・作曲している。
- バンド女子の仮装をして学校へ行くぼっちちゃん、付けている缶バッジは「SUPER FEEVER」「スリープハイプ」「The Siro-Magnons」の三バンド分
それぞれ実在するバンド「SUPER BEAVER」「クリープハイプ」「ザ・クロマニヨンズ」のオマージュ - 同じシーンでぼっちちゃんが手に付けてるカラフルなわっかは、バンドグッズによくあるラバーバンド。
- 下北沢の街並みにも実際の風景が少し変えて使われている。下北沢を降りてすぐのシーンでは、実際にある「本多劇場」にそっくりの「本丸劇場」の前を通過。
- (11:17~)虹夏が「ひとりちゃん、実はけっこう運動できる?」と聞くが、原作の同じシーンでは(全然目が合わない…)と驚いており、目をそらすときの機敏な動きに対して言っている。
- ライブハウス「STARRY」は実際にあるライブハウス、下北沢SHELTERを参考にして描かれている。
- 「STARRY」の中には多数のバンドポスターが貼られており、「KOKEROCK」は実在のバンド「SAKEROCK」のオマージュだと思われる。SAKEROCKはリーダーの星野源が自分の高校出身のメンバーで組んだバンドで、2000年結成、2015年解散。
- 13:40~「セットリスト」は演奏する曲順を示したもの、今回は他のバンドの曲を演奏するカバーバンドだったようで、曲名を見た瞬間に「この曲ならいける」と言っている。人気バンドのカバー動画(いわゆる弾いてみた動画)を録ってきたぼっちちゃんの本領発揮、とはならなかったが…。
- 一人での演奏だと上手くても、バンドだとど下手になる、というのは本当にある。一定間隔で動くメトロノームと、人力でやっているドラムに合わせるのではかなり感覚が違う。
第二話「また明日」
まだライブシーンは少ないものの、それぞれの自己紹介で面白い話が聴ける回。
タイトル「また明日」の意味
タイトルの「また明日」は一話と同様にアジカンの曲名から。映画「ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-」の主題歌。
虹夏の好きな音楽
虹夏は好きな音楽について、「あたしはね、メロコアとかいわゆるジャパニーズパンクかな」と言っている(2話 5:11~)。どちらもジャンル名。メロコアはパンクロックから派生した、メロディアスな歌と早いビートが特徴的な音楽。
いわゆる日本の邦ロックが好きな人の中でも、比較的ロックフェスなどと相性がいい層が聴いている音楽。10-FEETやHi-STANDARDなど、邦ロックの中でも”ロックバンドらしい”音楽性。
リョウ先輩の好きな音楽
同じシーンで、リョウ先輩は「テクノ歌謡」が好きだと言っている。テクノ歌謡は坂本龍一や細野晴臣らが流行らせたテクノポップを取り入れた歌謡曲であり、70年代に流行した。C-C-Bの「Romanticが止まらない」など、シンセサイザー(電子音)が主軸となっているところが特徴。うる星やつらの「ラムのラブソング」もテクノ歌謡の一種だと思われる。
女子高生が聴くにはかなりマニアックなジャンルである。
ぼっち・ざ・ろっく 2話の小ネタ
- (2:16~)虹夏からのラインスタンプには宇宙ネコが使われている(唐突な実写)
- (5:33~)「青春コンプレックス」→OP曲のタイトルに使われている。
- (10:55~)リョウ先輩の実家はお金持ち→原作3巻で親が医者であることがわかる。
- (19:02~)STARRYに出演しているアレキサンディズムというバンド
→実在のバンド[Alexandros]からだろうか。 - アレキサンディズムが歌っているのは、実在したファジーロジックというバンドの「8月を指折り数える君と町で出逢える確率について」という曲。
アニメ音楽プロデューサーの西田圭稀が、自分が高校生の頃からやっていたバンド・ファジーロジックの曲が採用されている(7年前に解散しているとのこと)。歌も本人。
1話冒頭に出てきたインストームス「引き金」もファジーロジックが当時発表した曲だ。
第三話「馳せサンズ」
ついにメンバーが出そろう。タイトルは同様にアジカンの「長谷サンズ」という曲名から。
メンバーの名前がアジカンと同じ
結束バンドのメンバーは全員アジカンと同じ苗字になっている。
- 後藤 ひとり⇔後藤 正文(ギターボーカル)
- 伊地知 虹夏⇔伊地知 潔(ドラム)
- 山田 リョウ⇔山田 貴洋(ベース)
- 喜多 郁代⇔喜多 建介(ギター)
突然出てくるザリガニ(3話 0:59~)
3話の0:59~あたりでぼっちちゃんをほめたたえる、ザリガニ・競泳のお姉さん・緑のおっさん。実はこれもASIAN KUNG-FU GENERATIONの「君の街まで」のMVのパロディである。情報が強烈過ぎて曲が入ってこない名MV。
ぼっち・ざ・ろっく 3話の小ネタ
- (1:19~)クラスの子が話しているバックウィンプス→実在のバンドRADWIMPS。
- (2:29~)音ステ→Mステのパロディ、司会者がサングラスをかけているのはタモリから。
- (2:59~)虹夏はレモンティー、リョウはミルクティー、それぞれの髪の色にあったパッケージの紅茶を飲んでいる。
- (5:24~)喜多ちゃんのギターケースのデザインは、実際に売っているものが使われている。
- 6弦ベースは生産数が少ないので高価なものが多い。喜多ちゃんが前借りした金額も、リョウが買い取った金額も10万円以上はするものと思われる。
- (21:00~)リョウのから借りたギターも、持ち主の髪色を思い出させるカラー。ちなみに水色のレスポール・ジュニアは限定色なので、これを持っているリョウはかなり楽器マニア。
- (21:21~)Fコード→ギター初心者が最初にぶつかる壁。コツをつかむまでは押さえるのが難しい。押さえかたまでちゃんとアニメ内で再現されてる。
- (21:44~)c-xxxt(微妙に読めない)というサイトでコードの押さえかたや弾き語りの仕方を教えている。元ネタはコードと歌詞が集約されている実在サイト・u-fret。
第四話「ジャンピングガール(ズ)」
徐々にバンドっぽくなってくる回。タイトルはアジカンの「ダンシングガール」から。
ギターの形もアジカンと同じ
結束バンドでは、ギターボーカルがダブルカッタウェイのレスポールを持っており、リードギターがシングルカッタウェイのレスポールを持っている(それぞれギターの形状)。これはASIAN KUNG-FU GENERATIONと同じ構成である。めちゃくちゃアジカンをリスペクトしている。
ぼっち・ざ・ろっく 4話の小ネタ
- (冒頭)喜多ちゃんの練習がコードからリフの練習に変わっており、より実践的な(ロックバンドでよく出てくる)内容になっている。
- (0:09)古びたライブ告知ポスターにリョウの姿が。「ざ・はむきたダ」というガールズバンドに入っていたと思われる。
- (6:01~)ぼっちのサインの中に「ごっち」がある。アジカンのボーカル・後藤正文のあだ名。
- (7:53~)ぼっちちゃんの部屋のポスターの「HAKO-BOON/クールドライバー」→「KANA-BOON/フルドライブ」。KANA-BOONは当時のポスターでレーサーの格好をしていたが、同じようなヘルメットをかぶった宇宙飛行士が描かれている。
- リョウが言った「OPでジャンプするアニメは神アニメ」とは→まんがタイムきららとその周辺雑誌で連載されている漫画のアニメ。「ぼっち・ざ・ろっく!」もまんがタイムきららMAXにて連載中。(ちなみに「ぼっち」もいれて重複除いても20作品以上ジャンプしている、「けいおん!」「きんいろモザイク」「がっこうぐらし!」「NEW GAME!」など)
- (11:12~)リョウの好きな本屋B&C→実在の下北沢の本屋B&B
- (13:30~)ボッチがツチノコになる場面、絵のタッチはPanpanya先生のオマージュと思われる。
- (14:20~)ぼっちだけ地面に直で三角座り
ちなみにこの木の絵が描いてある壁は、ほぼ現物のまま下北沢にある
ぼっちざろっく 聖地巡礼
【タイムズ下北沢第8ステーション】
木とかそのまんまなんだね pic.twitter.com/N6RAWlIPPa
— なかちゃん 【ヲタク駆け出し】低浮上 (@Nakachan_28) February 25, 2024
- (21:00~)ぼっちが先に歌詞を書き上げる。曲を作る場合、曲から作るケースと、歌詞から作るケースがある。それぞれ曲先(きょくせん)、詞先(しせん)、という。今回は詞先。歌詞でも曲でも、あとから作る方が難しい。
第五話「飛べない魚」
ついに本格的なバンド演奏シーンが出てくる。タイトルはアジカンの「飛べない魚」から。
演奏シーンはモーションキャプチャー
モーションキャプチャーとは現実の人物の動きを記録する技術。この演奏シーンはモーションキャプチャーしたデータをもとに手書きで書き起こしたアニメ(CGではない)とのこと。個人的にはリョウの動きがあり得ないぐらいリアル(コーラスに入るときのマイクに対する顔の角度とか、リズムに対するノリ方とか)。カメラアングルが本当のライブ配信の映像みたいなのもすごい。
虹夏の持ち込み機材
よく見ると、演奏シーンのドラムセットのうち、虹夏の右ひざのところにある太鼓(スネアドラム)だけ黒色である。実はドラマーはスティックだけを持ってくるのではない。足で踏む感覚が変わってくるペダルと、音が種類やコンディションによって変わりやすいスネアは持ち込むことが多いのだ。
練習シーンではスタジオに置いてあるスネアを使っていたが、本番では持ち込み機材を使うというリアルな演出である。
ちなみにつかっているのは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのドラマーであるチャド・スミスのモデル。実はこのスネア、側面にチャドスミスのサインが書いてあるのだが、何と「ぼっち・ざ・ろっく!」のOP映像ではチャドスミスのサインまで視認できるレベルで緻密に描いている。すごいアニメだ。
ぼっち・ざ・ろっく 5話の小ネタ
- (0:30~)ぼっちちゃんが1万円をもらって使い道を考えるシーン。上部に出てきたマンガ、きらきらブックス奔走中(作者:はまじふゆ)は、「ぼっち・ざ・ろっく!」の作者はまじあき先生の「きらりブックス迷走中」のパロディ
- (1:24~)うしうしファイナンス→「闇金ウシジマくん」のカウカウファイナンスのパロディ
- (4:17~)星歌がパソコンに打ち込んでいるバンド名「マカロニぺんしる」→実在のバンド「マカロニえんぴつ」
「雪国withトンネル」は川端康成の小説『雪国』の冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」からか。 - (7:54~)ぼっちちゃんが隠れた土管、これも下北沢に本当にある。
下北沢めっちゃ土管好きすぎて草 pic.twitter.com/qUZcPuemNY
— クアン・カンパチ (@000_quan) November 24, 2023
- (11:21)ぼっちちゃんの部屋の押し入れのポスター「君の好きだったケーキの味が思い出せない/クリームライク」はクリープハイプのパロディ
- (11:37)虹夏が使っているブタの形をした落し蓋、本当にある。
第六話「八景」
ついに廣井きくりが登場。ぼっちちゃんの地元が金沢八景駅であることも判明しつつ、タイトル名の由来はアジカンの曲名「八景」から(リードギターの喜多建介が透明感のある声でメインボーカルをしている珍しい曲)。
金沢八景とアジカン
ぼっちちゃんが地元でビラを配ろうとしてきくりと出会う回。駅名などもしっかり書き込んであって、金沢八景駅が地元ということが分かる。金沢八景から下北沢って1時間半かかるんだけど大変ね…。
金沢八景駅にはとある大学がある。関東学院大学である。実はASIAN KUNG-FU GENERATIONは1996年に関東学院大学のサークル内で結成されたバンドなのだ。ぼっちとごっち、地元が同じ。
MVのパロディはサカナクションとアジカン
今回のパロディは二つ。
- (0:48~)背景に書いてある「合格」のフォントがサカナクションの新宝島のMVと同じ。
- (3:56~)アジカンの「アフターダーク」のMVから自然にサカナクションの「新宝島」へ接続。
「アフターダーク」では背中に小さい羽根が生えたアジカンメンバーを見ることが出来る。このパロディをしながらサカナクション風に踊るってどういう発想だ。
ぼっち・ざ・ろっく 6話の小ネタ
- (1:34)ぼっちちゃんが飼ってる犬の名前はジミヘン→実在のギタリスト、ジミ・ヘンドリクスから。
- (7:53)きくりが話しかけている弁財天は音楽を司る神様(9話でも弁財天が登場する)。
- (13:51)きくりのiPhone、当たり前のように画面が割れている。
- (16:01)きくり、しゃみせんのばちでベースを弾いている(原作者による解説↓)
余談ですが廣井の使ってるピックは以前GTI工房に見学に行ったときに目の前で作っていただいた三味線のバチ型ピックが元ですね!サムピングのアタック感が硬くなったような音がしてすごく面白いです! pic.twitter.com/FfUON8Zz8p
— はまじあき🎸アニメありがとう📺 (@hamazi__) May 11, 2019
- (16:05)弾いているのは8話で再登場する「あのバンド」
第七話「君の家まで」
ぼっちちゃんの家を訪ねるギャグ回。タイトルは上述したザリガニがMVに出てくるアジカンの「君の街まで」より。
ぼっち・ざ・ろっく 7話の小ネタ
- (18:07)突然のナウシカ・レクイエム(ナウシカのランランララランランランのやつ)
- そのままぼっちちゃんが胞子となって、部屋が腐海に。
第八話「ぼっち・ざ・ろっく」
「ぼっち・ざ・ろっく!」を覇権アニメにした回。初ライブの緊張感、上手くいったライブの熱量、全てがリアルに表現されている。
あえて下手に演奏された「ギターと孤独と蒼い惑星」
「ぼっち・ざ・ろっく!」のすごいところは、ライブを再現するためにそのためのテイクを録音しているところ。特にこの回の「ギターと孤独と蒼い惑星」については、虹夏のドラムが非常に不安定で、もたつくビートに振り回されるぼっちちゃんとリョウの演奏がリアルに描かれている。
バンドで演奏するとき、リズムの大黒柱となるのがドラムであり、基本的に全員ドラムに合わせて演奏する。そのドラムがもたついたり走ったりしているので、バラバラな演奏になってしまう。直前まで皆を励ましていた虹夏が実は一番緊張していた、これを音で表現しているのがすごい。
この虹夏のピンチを救ったことが、8話後半の虹夏からぼっちちゃんへの感謝に繋がる。
また喜多ちゃんは初心者なので、ちょこちょこギターをミスっていたり、声が上ずっていたりする。ちょっと背中が泡立つくらいリアルで、過去に演奏をミスった経験のある人ならみんな共感できるのではないだろうか。
「あのバンド」
冒頭、カチッと足元の青いエフェクトペダルを踏むぼっちちゃん。これは音をより大きく、派手にするための効果(エフェクト)をかけるための機械。普通はギターソロの前などで踏むのだが、ここでは自分のギアを一段階切り替えるために踏んでいるような印象だ。
(7:29~)からはギターにリバーブ(残響音を与えるエフェクト)が加わる。これはぼっちちゃんの足元にはないので、もしかするとPAさんが気を利かせて掛けてくれたのかもしれない。
ここで令和のアニメ史に名前を残すであろうギターヒーローが爆誕するのである。
タイトルだけが決まっていた曲
「ギターと孤独と蒼い惑星」「あのバンド」は原作にはタイトルだけ登場する。つまり、先にタイトルだけが決まっていて、それに合わせて曲と詞が後から書かれたというわけである。曲先、詞先どころではない難易度だ。それにも関わらず、まるで元からこういう名前を持って生まれた曲のような、言葉と音の必然性。
しかも「あのバンド」に至っては、サビが盛り上がるメロディでない(=アニソン的でない)。アニメの視聴者たちが普段聴いている曲とは距離があるわけで、このアプローチにはある種の賭けの部分もあった。しかし、その選択の結果、このアニメは一大旋風を巻き起こしたのである。
ぼっち・ざ・ろっく 8話の小ネタ
- (2:42~)ピンク色に光るぼっち→ドラゴンボールのパロディ
- (3:33~)段ボールに入ったぼっち→ポージングが有名な「段ボールでガンダムのコスプレをしている海外の人」と同じ
- (11:14~)真っ白に燃え尽きたぼっち→あしたのジョーのパロディー。ボクシング漫画なのでこのシーンではゴングが鳴っている。その後の「僕はもう疲れたよ」はフランダースの犬のラストのパロディで、主人公が天使に連れられて天に昇っていくシーン。最後の「おめでとう」は「新世紀エヴァンゲリオン」のパロディ。三重になっており、パロディが渋滞している。
- (15:34~)やすりで直されたぼっちの顔→学園ハンサムのパロディ
第九話「江ノ島エスカー」
タイトルはアジカンの「江ノ島エスカー」より。江ノ島エスカー(江ノ島にある有料のエスカレーター)も出てくる。ちなみにアジカンのアルバム「サーフ ブンガク カマクラ」では、全曲に江ノ島電鉄の駅名が冠されている(「藤沢ルーザー」「七里ヶ浜スカイウォーク」「長谷サンズ」など)。
ぼっち・ざ・ろっく 9話の小ネタ
- (0:41~)「今日も充実した一日…じゃない!」→顔が「ひぐらしのなく頃に」の「嘘だッッ!!」の顔。その直後に8月19日のカレンダーが映るが、「ひぐらし」では昭和58年6月19日が村祭りの日になっており、その日を境に大変なことが起こる。パロディが細かい。
- (4:48)ぼっちがサンバを踊って「トルティーヤ!」と叫ぶ。サンバ→ブラジル、トルティーヤ→メキシコ料理なので実は関係ない。
- (6:39)リョウが夏休みに家で見ているのは、「その着せ替え人形は恋をする」の12話で出てきた映画と同じ。制作スタジオが同じCloverWorksで、作画スタッフなども共通しているので出来たパロディだろうか。
- (11:52)異常にリアルな質感のたこせんべい
- (18:07)めりこむぼっち→ドラゴンボールのヤムチャのパロディ
第十話「アフターダーク」
アフターダーク(暗くなった後に)、これもアジカンの曲名である。
廣井きくり(SICKHACK)の元ネタ
廣井きくりの所属するSICKHACKの元ネタは八十八ヶ所巡礼。「四苦八苦」も「八十八」も仏教用語だからわかりやすい。メンバー名もオマージュされている。
- 廣井きくり→マーガレット廣井(Ba.と歌と主犯格)
- 清水イライザ→Katzuya Shimizu(Gt.と参謀と演技指導)
- 岩下志麻→Kenzooooooo(Dr.と極道と含み笑い)
志麻だけ関係ないのかと思いきや、パートに極道と入っているのでヤクザ映画「極道の妻たち」の主演である大女優・岩下志麻の名前が連想でそのまま使われている。
ちなみに「ぼっち・ざ・ろっく!」のOP映像でなぜかきくりがさば味噌缶に乗っているのも、上記の「仏滅トリシュナー」のMVでなぜか回っているさば味噌缶から。音楽としてはどちらも、サイケデリックロックとプログレッシブロックの中間のような演奏をしている(※それぞれジャンル名)。まさにインディーズで人気があり、ファン層が厚いバンドである。リョウいわく「2枚目から聴くのがベスト」とのことなので2ndAlbumから聴いてみてはいかがだろうか。
ぼっち・ざ・ろっく 10話の小ネタ
- (4:01~)「知らない天井だ…」→新世紀エヴァンゲリオンの第2話で主人公が発したセリフ。
- (13:11~)新宿FOLT→実在のライブハウス・新宿LOFTから。モデルになっている。
- (14:17~)イライザのキーホルダーはマンガ「スローループ」のキャラ。同じきらら所属で、作者同士が仲良し。
- (19:23)彼氏にしてはいけない3B→本当は「バンドマン、バーテンダー、美容師」
第十一話「十二進法の夕景」
同じくアジカンの曲名「十二進法の夕景」から。文化祭のシーンでは怒涛のパロディが続く。
ぼっち・ざ・ろっく 11話の小ネタ
- (1:36~)「ダーウィンが喜多!」→NHKの番組「ダーウィンが来た! 」
- (7:17~)ぼっちの変顔→マンガ「プラスチック姉さん」のパロディ
- (8:01~)世紀末的風貌の輩→「北斗の拳」のパロディ
- (9:13~)リョウの目が「忍たま乱太郎のきり丸」に
- (9:31)ガムテープを巻いて海の上で→T.M.Revolution 「HOT LIMIT」のパロディ
- (12:05~)喜多ちゃんの「待って!」のフォントが、ゲーム・逆転裁判の「異議あり!」と同じ。
第十二話「君に朝が降る」
アジカンの「転がる岩、君に朝が降る」から。第一話タイトル「転がるぼっち」の回収。
ライブシーン(文化祭)-弦が切れたテイクをあえて録音
曲順は「忘れてやらない」→「星座になれたら」。ポップな曲が続く。「あのバンド」はライブハウスにいる音楽が好きな人に刺さるように、「忘れてやらない」は普段音楽を聴かない人でも楽しめるように、と曲ごとに受ける場所は違う。恐らくこの状況で「あのバンド」や「ギターと孤独と蒼い惑星」をやっていたら、リョウが経験したようなお通夜状態になっていたかもしれず、経験が生きている。
「忘れてやらない」はSHISHAMOなどを彷彿とさせるような、ガールズバンド色のある曲なのだが、メタルっぽいギターソロが入るのが「ぼっち・ざ・ろっく!」らしい。歌詞もアンチ青春で良い。
「星座になれたら」は修練の成果か喜多ちゃんのパートが難しくなっている。このシーンですごいのは、ぼっちに起こったトラブルを再現して、音源を録りなおしているところ。原曲ともいえるアルバム収録版には、ボトルネック奏法のソロや、その前の喜多ちゃんのアドリブの間奏は収録されていない。
ちなみにアルバム版には「ぼっちが本来弾きたかったギターソロ」も収録されているので、それも素晴らしい。普通だったらアニメと同じギターソロを入れてしまうところだが、作品への愛と熱量を感じる。
ぼっち・ざ・ろっく 12話の小ネタ
- (10:24~)喜多ちゃんが持っているアタッシュケースのようなものは、エフェクターケース。ふたの部分を外して機材を並べられる(ライブシーンで足元においてある。)
- (11:03~)レスポール・カスタムは最低でも50万円はするので土下座するぼっち。慌てているお父さんを見ると、ひとりは間違いなくお父さん似。
- (11:33~)ギターを燃やすパフォーマンス→ジミ・ヘンドリクス
- (13:51~)ドラゴンボールネタ再び
- (15:19~)お茶の水のイシバシ楽器→本当にある。そのままの名前である。
- (16:48~)リョウが試奏したのはスティングレイというベース。レッドホットチリペッパーズというバンドで、ベーシストが激しいスラップ奏法をしていたことで知られる。上述したように虹夏もレッチリのドラマーのシグネチャーモデルのドラムを使っているので、何かと縁がある。
- (17:39~)ぼっちが買ったギターのモデルはYAMAHA Pacfica611。YAMAHAの最上位モデルだが価格が手ごろで、色々な音が出せるため人気がある。「ぼっち・ざ・ろっく!」の人気により、記事執筆時点ではAmazonで黒色のモデルは売り切れ。
おわりに-最終話EDはアジカンのカバー
最終話EDはアジカン「転がる岩、君に朝が降る」のカバー。ヴォーカルは後藤ひとり(CV 青山吉能)。原作者のはまじあき先生のチョイスで、「ぼっちちゃんの事をを考えた時にこの曲しかない!と思い選ばせて頂きました、、、!」とのこと。
キャラクターが歌っているように聞こえる完ぺきなカバー。「あっ」ということの多いぼっちをイメージして、ブレス(息つぎ)の音が大きくなるよう、音源のミックスの段階で調整しているという。
細かな部分まで愛にあふれたアニメだった。ビックタイトルの多かった2022年秋アニメにおいて、「ぼっち・ざ・ろっく!」が大躍進を遂げられたのは、各スタッフの愛と熱量があったからだろう。2期をやるという話はまだ出ていないが、もし制作されるのであれば、全力で応援していきたい。
コメント
最近、ぼっち・ざ・ろっくを視聴しましたが、音楽関係が分からなかったため、この記事のおかげで元ネタが分かり助かりました。
より本作と元ネタになった方の事が知れて感謝です!
OPの鯖缶まで理由があったとは